昔昔、セルジョ・レオーネがいた。2020年07月01日 20:17

今年の1月、まだコロナが蔓延する前に、イタリアのローマにいたんだけれど、その時に開催されていた「C'era una volta Sergio Leone」(昔々、セルジョ・レオーネがいた)という展覧会を見た。
昨年の12月17日から開催されていて、本来ならば5月3日で終了しているはずだったのだが、ネットで確認すると、コロナの影響で、ローマがロックダウンしていたこともあって、8月30日まで開催が延びたようだ。
マカロニウエスタンの監督として有名なセルジョ・レオーネだから、興味があって見に行ったのだけれど、とても面白かった。黒澤明の「用心棒」が元となった「荒野の用心棒}(原題は、Per un pugno di dollari=一握りのドル)で、成功を得たわけだが、当時の著作権に関して取り交わされた覚書なども展示されていた。
さらに、黒澤とレオーネの映像比較なども見られて、彼がいかに黒澤の影響を受けていたのかを見て、とても面白かった。
1月末に日本に帰ってきてからは、コロナ感染が広がって、日本にいるわけだが、この間、テレビで昔の映画をいくつも見ることができた。
コロナで、テレビ局も放送するコンテンツが無くなって、昔の映画をたくさん放送するようになったのかもしれないのだけれど、昔と比べて良いのは、言語選択ができて、原語で見られて、さらに日本語字幕も付けられるってことだ。
イタリアのマカロニウエスタンも結構放送されていて、セルジョ・レオーネの作品もいくつか見たのだけれど、それにもまして面白かったのは、イタリア映画の真骨頂とも言える、ホラー映画・スプラッター映画の巨匠、ルチオ・フルチ監督のマカロニウエスタンも放送されていたことだ。
「シルバー・サドル(銀の鞍)」と「真昼の用心棒」を見たのだけれど、同じように放送されたセルジョ・レオーネの作品と比較してみると、レオーネの作品は、音声を切り替えても英語が出てきたのに対して、フルチの方は、イタリア語が出てきてこれもまた面白かった。
映像のクオリティとしては、やっぱりレオーネの方が完成度が高く、ストーリーの完成度も高く感じた。フルチの方は、ストーリーも漫画的な展開。主演男優が、レオーネはクリントイーストウッドで、フルチはジュリアーノ・ジェンマだったりして、それも面白かった。
特に面白かったのは、フルチの作品を原語で見ていると、大半の会話はもちろんイタリア語なのだけれど、メキシカンと思われる登場人物は、イタリア語とスペイン語のチャンポンで話していたりする。
幸いにして、イタリア語もスペイン語も少々理解できるので、それはそれで面白かった。
同時に、日本語字幕も見ながら鑑賞していたのだけれど、その翻訳のいい加減さも面白かった。映画の登場人物が話していることと、全然違う翻訳なんだけれど、日本語だけを見ていれば、辻褄はあっている。
イタリア語が分かってしまうから、「おいおい、違うだろう!」と突っ込みを入れたくなるような吹替なのだけれど、ストーリーの繋がりとして、日本語だけを聞いていると違和感はない。
イタリアで、Netflixでジブリのアニメ作品が配信され始めてから、そのイタリア語版の翻訳がひどすぎるって話をネットで見ていて、改めて、言語翻訳の問題を考えてしまった。
確かに、Netflixイタリア語版のジブリ作品の翻訳は、Facebookにジブリイタリア語版の翻訳家に「仕事をやめろ!」ってグループができるくらいに、ひどい翻訳らしく、同じ翻訳家が、Netflixで配信されたエヴァンゲリオンのイタリア語版を担当したのだけれど、あまりの酷さに配信がストップするってこともあったようだ。
ジブリのイタリア語版の翻訳家の質がかなり低いようで、イタリアではジブリ作品が正当に評価されていないらしい。
今は、コロナ自粛で、今まで働いていた老人介護の仕事はしてないくて、無職の身なのだけれど、できれば、言葉、特にイタリア語と日本語の翻訳関係の仕事をしたいと思っている。言語能力の問題で、ジブリ作品が正当な評価を得られないというのは、実にじれったい。
Facebookの上記のグループの投稿を読んでいると、原作(日本語)の雰囲気を壊さないでアニメを見るために、わからない日本語を聞いて、英語字幕を読んでいるとか、フランス語版の吹替を聞きながら、英語字幕を読んだほうが、作品の世界観をちゃんと理解できるという投稿も数多い。
もう少し、イタリア語を勉強しないと、、、

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