17年ぶりのイタリア 2018年1月その52019年06月27日 12:30

 昨年2018年は、1968年からちょうど50年に当たる年で、イタリアでは1月から、50周年記念にまつわる様々な催しが行われていた。
 多くの左派系雑誌が特集を組んでいたり、68年の反体制運動とはなんだったのかを討論するセミナーなどが開かれていたのだった。
 ちなみにイタリア語版のwikipediaで1968年を見てみると、月別年表の1月最初にIl Sessantottoとして別項目で解説がある。
 https://it.wikipedia.org/wiki/Sessantotto
 残念ながら日本語版には、この項目はないようだ。
 それでも、日本語版wikipediaの1968年の項目を月を追ってみていると、この年にいかにいろんなことが起きたのかがわかる。
 1月5日にプラハの春が始まり、1月29日に東大闘争が始まり、1月30日には、ベトナムでテト攻勢が始まっている。
 2月26日には三里塚で農民と警官隊との衝突があり、4月4日にはマルティン・ルーザーキング牧師が暗殺され、5月にはフランスの5月革命があり、6月5日にケネディ大統領暗殺。6月25日には小笠原諸島が沖縄に先立ち日本に返還されている。
 8月24日には、フランスがサハラ砂漠で水爆実験。10月にはカネミ油症事件が発生。10.21国際反戦デーで新宿駅が選挙されたのもこの年のことだ。
 僕は当時10歳だったので、はっきりと記憶しているわけではないが、前年の1967年に暗殺されたチェ・ゲバラ、ケネディ暗殺、キング牧師暗殺は、後々まで伝えられている出来事だし、翌年1969年1月の東大安田講堂での機動隊と学生の攻防戦などは、テレビで見ていた記憶がある。
 1968年とはそんな年だったようだ。
 2018年1月に、MicroMegaというイタリアの雑誌が、68年特集特別号の発売を記念してローマ大学の大講堂で、出版記念の集まりを催したので、僕も行ってみた。
 当時の学生運動のリーダーだった連中も、年を取り、大学教授になっていたり、政治家になっていたりして、当時のことをいろいろと話したのだが、多くの男性演者が昔のことを懐かしむような話をしたのに対し、ルチャーナ・カステリーナの話が一番面白かった。1968年に誕生した運動を、どうやって現在の運動に結びつけていくのかってことを中心に話をしていたからだ。
 後半、カステリーナとイタリア語版ハフィントンポストの編集長(これも女性)、若者の代表(これも女性)のパネルディスカッションがあったのだけれど、これが中々に聴き応えがあって、昔のことを懐かしむのではなく、どう若い世代に伝えていくのかというルチアーナ(現在89歳くらい)と、昔のしがらみなど関係なく運動を進めている若者と、その間を取り持とうとする司会の編集長の噛み合うようでいて噛み合わないもどかしさと、互いに理解しようとする前向きな姿勢が、具体的な話の内容までははっきりと覚えていないが、イタリアにはまだこういう流れが、断ち切られずに残っているんだなと何やらちょっと嬉しくなったのを覚えている。

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