成田からメキシコシティーへ2019年11月05日 01:56

僕が初めてメキシコに行ったときは、三里塚のこともあって、大阪空港から発って、ロサンゼルスで乗り換えてメキシコシティーの空港に到着したんだけど、流石に年もとってきたので、今回はANAの直行便を利用した。
日本の大手航空会社を利用するのは初めてで、どんな機内サービスがあるのか楽しみにしていた。
出発の数日前に、持病の腰痛がぶり返してしまい、不安を抱えながらの出発となった。
成田でチェックインする際に、腰痛のことを地上係員の人に伝えると、乗務員に伝えますとのことだった。
機内では、腰痛はいかがですかと声掛けしてくれて、ああ、大手は違うなと思ったのだけれど、サービス自体は、まあまあ。ここ2年ほどで、イタリアに3度ほど行っていて、その度に安い航空会社を使ったので、カタール、キャセイパシフィック、エミレーツと乗ったのだが、今回のANAも含めて、カタールが一番サービスは良かった。
ANAの食事もまあまあ。一つ感心したのは、トイレがウォッシュレットだったこと。この辺は、日本の航空会社だなと思った。
12時間半ほどのフライトで、メキシコシティに到着。日付変更線を超えるので、出発した時に日時と到着したときの日時は、1時間ほどの違いしかない。帰りは、1日損をするので結局同じなのだけれど、、、、
メキシコシティでは、前日にタクシー運転手たちの抗議行動があり、主要道路が封鎖されていたので、迎えに来てくれる友人は大丈夫かと思っていたのだが、案の定、入国審査を終えて到着ロビーに出ても、迎えは来ておらず、しばらく空港内をブラブラ。ATMで、現地通貨のパソを引き出したり、スマホのSIMを探したりしているうちに、友人夫妻が到着。やはり、前日の影響が残っていて、通れない道路もあり、渋滞に巻き込まれて、遅くなってしまったとのことだった。
こうして10月上旬から1ヶ月ほどのメキシコ旅行が始まった。

メキシコシティって名前が変わったんだ。2019年11月11日 14:56

メキシコの正式な国名は、メキシコ合衆国という。スペイン語ではEstados Unidos Mexicanosなので、きちんと訳せばメキシコ合州国が正しいのだろうけれど、日本では合衆国が一般的みたいだ。
アメリカも正式にはアメリカ合衆国で、どっちとも合衆国なんだけど、メキシコではアメリカのことを略してEUと呼ぶ。Estados Unidosの略なんだけど、EUというと日本では欧州連合になる。
日本でいうEUは、スペイン語圏ではUE(Union Europea)となる。
ややこしい限りだ。
さて、僕の到着したメキシコ国際空港は、ベニト・ファレス国際空港とも呼ばれる。スペイン語ではAeropuerto Internacional Licenciado Benito Juarezとなる。今回の滞在でもよく聞いたのが、ここにもあるLicenciadoって単語なんだけれど、スペイン語では学士様って感じで使われている。いわゆる大卒ってことだ。
ここで僕的に混乱してしまうのでは、イタリア語で発音的に近い licenziatoって単語は、解雇されたって意味なのだ。
学士様と解雇者ではえらい違いなので、慣れるまでは、会話の途中で戸惑ってしまうことが度々あった。
メキシコ合衆国の首都であるメキシコシティも、かつてはMexico DFと呼ばれていた。DFとは、Destrito Federal、メキシコ連邦特別区っていうのが、正式名称だった。それが、2016年に変更されて、今ではCiudad de Mexico(メキシコシティ)が正式名称になったという。略してCDMEXと使っていた。
未だに地方の高速道路などでは、Mexico DFって表示が残っていた。
メキシコのニュース番組や新聞を読んでいてよく目にする略号にAMLOってのあった。アムロって何?って感じなのだが、もちろんガンダムは関係ない。
これは、現メキシコ大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)の名前を略したものなんだそうだ。

トルーカへ2019年11月11日 16:00

メキシコシティの空港まで迎えに来てくれたのは、この前も書いたように、39年前に僕がホームステイしていた家族の息子で、当時はまだ17歳くらいだった。それがすっかりおじさんになっていて、髪の毛もほぼない。二人の子どもたちを育て上げて、今は夫婦二人暮らしになっていた。
その彼の車で、以前のホームステイ先のある街、トルーカに向かった。
トルーカは、メキシコ州の州都で、標高が2667メートルもある。メキシコシティの標高が2240メートルだから、それよりも更に高い。
以前、僕がいた頃は、メキシコシティからトルーカまで、車でおよそ1時間半から2時間はかかっていたと覚えているのだが、現在は高速道路が出来て、40分から50分で行けるという。ただし、メキシコシティ近くとトルーカ近くでは、ラッシュ時の渋滞がかなりあるそうなので、空いていればってことらしい。走っている車も、かつての記憶と比べると、格段にキレイな車がほとんどだった。
都市部近郊には、イタリアでもそうだったのだが、巨大ショッピングセンターがいくつも建設されていた。中でも、メキシコシティからトルーカに向かう時に通る、サンタフェ地区にあるショッピングモールは、メキシコで一番大きなものだそうだ。後日、連れて行ってもらったのだが、とにかく広かった。
渋滞にはまりながらも、あまり遅くならずにトルーカに到着したのだが、あまりの様変わりに記憶の中の町並みは見当たらない。まずは、ホストマザーに会いに行ったのだが、家の近くに来てやっとおぼろげな記憶の中の風景に出会うことが出来た。
ホストマザーは、90歳という年齢にもかかわらず、とても元気で、僕のことをよく覚えていてくれた。懐かしさと再会の喜びで、大感動。
この後も、度々ご飯を食べに立ち寄ることになるのだが、毎日、料理をしているとのことだった。
39年前の当時のメキシコの平均寿命は、60歳ぐらいだったように記憶している。ちょっとネットで調べたらこんなサイトがあった。
https://ecodb.net/country/MX/life_expectancy.html
こっちは日本との比較
https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WB&d=LE00IN&c1=MX&c2=JP
現在のメキシコの平均寿命と比べても、長寿と言えそうだ。
そんなホストマザーの楽しみは、テレノヴェラと言われるテレビドラマで、台所にあるテレビの前に座って、毎日熱心に見ていた。
トルコのテレビ局が制作したものをスペイン語に吹き替えたドラマで、メキシコでも人気があるらしい。
メキシコは基本的にカトリックの国で、トルコはイスラム教の国という認識なのだが、テレビドラマで描かれる男女の恋愛や家族間の確執などは、宗教や言葉が変わっても、どうやら普遍的なものらしい。かつて日本のテレビドラマ「おしん」がアジアの国々大ヒットしたっていうけれど、トルコのテレビドラマがメキシコで人気があるっていうのは、初めて知った。

niniとfifi変わる言葉2019年11月12日 19:44

39年ぶりにメキシコに行って、スペイン語を話したのだけれど、口を付いて出てくるのは、イタリア語の単語ばかりだった。
元々スペイン語とイタリア語はよく似ているので、聞く分には話していることはだいたい分かる。しかし、いざ自分で話そうとすると、自分が話しているのがスペイン語なのかイタリア語なのか混乱してしまうのだった。
話している相手が、よくわからないという表情を見せることで、今のはイタリア語だったかと認識する始末で、慌ててえーっとスペイン語ではなんて言うんだっけと考え始める。
しばらくすると、友人たちのほうが僕の行ったことを推測してくれて、会話が成り立つようになってきた。
そんな中でも、これってスペイン語だったよな、でも通じないって単語があったりして、よくよく聞いてみると、かつて使っていたのだけれど、今は使われなくなったという単語があったりした。
昔覚えたスペイン語(メキシコの)では、例えば自動車のことはコチェ(coche)と言っていたのだが、現在では、アウトないしはアウトモビル(Automóvil)あるいはカッロ(carro)と言うようだ。
また、調子はどう?と問いかける時にque onda?とよく使っていたのだけれど、今ではもう言わないとも言われた。言葉は生き物だと常々思っているのだが、39年という時代の流れによって、メキシコのスペイン語も変化していることを改めて認識させられた。
まだ、辞書には載っていないけどよく使うよと言われた単語にniniとfifiがある。
niniはni estudio ni trabajo、勉強もしないし働きもしないって意味で、無気力な若者を表す言葉らしい。ちょっとネットで調べてみたら、英語で言うニートのことだとスペイン語のwikipediaに出ていた。ニート(NEET)は、not in employment, education or trainingの略だそうで、日本語でニートとよく使っていたけれど、これは知らなかった。
fifiは、日本語で言ういわゆるスノッブって意味らしい。単語としては昔からあるのだが、最近になって現大統領のAMLOがよく使うので、一般的になってきたらしい。
今回、僕がメキシコに滞在中も、麻薬組織による犯罪が多発していたのだけれど、こういった犯罪組織ないしはそのメンバーのことをナルコと呼んでいた。Narcotraficante(麻薬密売人)の略称で、この言葉も昔はなかったと思う。
SNSの普及もあって、若者言葉の略語もまた、色々とあるらしい。友人たちは、それ相応の年齢なので、詳しいことはわからないと言っていたが、例としてNTPとか使っているよと教えてくれた。no te preocupes(心配しないで)の略だそうだ。
大人たちの会話を聞いていてもpor favor(お願いします)をporfa、とかrefrigerador(冷蔵庫)をrefと略して使っていたりした。
やっぱり言葉は、現地に行って聞いて話してみないと、常に変化しているものなので、本当の意味は中々わからないと実感した。